就業規約

1.就業規則は大丈夫ですか!
就業規則は労働基準法によって、常時10人以上の従業員のいる事業所は作成、届出が義務付けられています。しかし、就業規則の効力、重要性を認識していらっしゃる経営者は少ないように思われます。法律で作成しなければいけないから、とりあえず、法律に引っかからないように提出しておけばいいといった考えで作成されている場合も多いのではないでしょうか。

就業規則の一番重要な点は、従業員と会社との契約になるという点です。労働契約法第7条で「合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合は、労働契約の内容はその就業規則で定める労働条件によるものとする」と明確に就業規則の労働契約としての性格を規定しています。

したがって、ひとたび従業員との処遇に関する意見対立、トラブル、問題が発生した場合は就業規則でどう定めてあるかが決定的な分かれ目になることが少なくありません。 雇用環境の変化、就業形態の多様化により、個別労働問題が近年急増し、全国の平成21s年度の総合労働相談件数は114万件、民事上の個別労働紛争相談件数は24万7千件にのぼりました。 就業規則をいい加減にしておくことは、大きな経営リスクを放置しておくことになってしまいます。
2.就業規則作成と見直しを依頼するメリット
よい人材ほどルールが明確な会社を選ぶと思います。従業員が安心して働ける職場環境を作る上で就業規則は大変重要です。 会社もルールをはっきりさせることで従業員への対処の方法が明確になり、職場の規律、秩序を正すことができるようになります。従業員とのトラブルを未然に防ぎ、さまざまなリスクから会社を守ることになります。

しかし、ひな形就業規則をそのまま流用したような場合は、作成者が内容をよく理解していないまま、作成されてしまうため、有用な運用ができないばかりか、想定していないさまざまな事態に対処できないものとなっていて、会社におもわぬ損害を及ぼすことにもなりかねませんので注意が必要です。

仮に、経営者や担当者が作成しようと書籍を読み込んで、自分の会社なりのアレンジをするとなると思った以上に手間と時間がかかり、リスクを回避できるようなものにするには膨大な労力が必要になります。結果として、専門家に依頼したほうがずっと効率的で安全なのではないでしょうか。
3.就業規則の記載事項
(1)絶対的記載事項(必ず記載しなけければならない事項)
  • ①始業および終業の時刻、休憩時間、休日、休暇ならびに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては、就業時転換に関する事項
  • ②賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算および支払の方法、賃金の締め切りおよび支払いの時期ならびに昇給に関する事項
  • ③退職に関する事項(解雇の事由含む)
(2)相対的記載事項(定めをする場合は絶対記載しなければならない事項)
  • ①退職手当の定めをする場合においては適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算および支払の方法ならびに退職手当の支払の時期に関する事項
  • ②臨時の賃金等(退職手当を除く)、および最低賃金の定めをする場合においては、これに関する事項
  • ③労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
  • ④安全および衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
  • ⑤職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
  • ⑥表彰および制裁の定めをする場合においては、その種類および程度に関する事項
  • ⑦以上のほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項
(3)任意記載事項
絶対的記載事項および相対的記載事項以外に会社が記載する必要があると判断した事項は法令に違反しない限り記載することができます。
4.作成、見直しの際、チェックする要点例
  • (1)適用範囲
    嘱託、パートタイマーについて、別規則をうたっている場合、実際に作成されているか。
  • (2)試用期間
    試用期間の延長について規定しているか。
  • (3)服務規律
    競業避止義務を規定しているか。 セクシャルハラスメントについて、しっかり規定しているか。
  • (4)労働時間
    始業、終業時刻の変更規定があるか
  • (5)特別休暇
    休日を含むかどうか明確になっているか
  • (6)休職
    休職期間の通算規定はあるか
    完全な業務遂行ができない状態の従業員に対して休職にできる規定はあるか
  • (7)人事異動
    出向命令に対する有効な包括同意となる規定のしかたをしているか
  • (8)退職
    従業員が行方不明になった場合を想定しているか
  • (9)賃金規程
    昇給ではなく、賃金改定となっているか
    割増賃金について、法定休日と法定休日以外の休日に分けているか
  • (10)退職金規程
    退職後に懲戒解雇事由が発覚した場合のことは記載してあるか

    など

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